ジュン26歳キャバクラ中毒

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今夜は暖かい。 風もないし、星も出ている。しかし車はあまり走っていない。 「今度は私の友達に会ってくれたら嬉しいなぁ。すごく明るくていい子なの」 トモミは言う。 そういえばコンビニを出てからずっと、手を繋いでいた。 離そうと力を抜くと強い力で握り返してくる。 ああ、この子結構めんどくさい子だ。 恐らくトモミが王様だったら トモミ(王様)「付き合ってくれんかのう?」 →はい いいえ という展開でいいえを選んでも トモミ(王様)「そんなこと言わずに付き合ってはくれんかのう?」 って無限パターンにハマるんだろう。そういう気がする。 「明日は仕事?」 しばらく無言で歩いていたが、突然立ち止まって聞かれた。僕が県庁職員だって嘘、この娘まだ信じてるんだな。 「仕事だよ?最近忙しいんだ。」 あっけらかんと答える。早くこの場を切り上げてマナミちゃんに電話したいんだ。したいんだ。したいんだ! 「そっか、じゃあ今から大事なこと言うからちゃんと聞いててね?」 なんだ?!さっきの鍋パがマルチの勧誘だってバレてたか?? トモミは深呼吸を2回して、息を吐ききると、手を胸にあてて目を瞑った。そして再び目を開くと言った 「もうお気づきかもしれませんが、私はジュンペイ君のことが好きです。彼女になりたいけど、けど!私にはジュンがまぶしすぎて、それは贅沢だと思います。だから、これからもずっといい友達でいてください・・・」 口ではそう言っても、多分僕に逆に告らせようとしてきてるのは伝わった。 以前読んだ今は亡き伝説のホスト、天草シンの自伝に書いてあった『カウンター告白誘いの術』だこれは。 恐らくトモミは僕の告りを待ってると思われる。 僕はクシャらせない程度に笑顔を作って、両手でトモミの肩を持ち、正面を向かせて、左手で頭を軽く引き寄せて胸に彼女の顔を抱いた。 「そんなこと言わないで付き合ってよ」 甘くて黒いエスプレッソみたいに大人の声が二人の間に残った。 僕に抱かれながら、トモミが小さく頷いた。 13年前甘酒を飲んだ。 その成分はとっくの昔に身体から出てるはずなのに、残ったトキメキが熟して、今日トモミをだました。 彼女ができた。 しかし、残念なことに、いま僕が考えてるうちの4割くらいはマナミちゃんのことだ。 キスをした。 ああ、今日は電話できないかも。
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