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シャワーを浴びて髪を乾かす。ドライヤーは去年ハードオフで買ったマイナスイオンが出るやつだけど、風力がほんとに弱い。
マスカラを塗る。化粧を英語でメイクと呼ぶのは顔を作るからだろうけど、元がイマイチなアタシは作ったところでやはりイマイチなデキだ。それでも、うん、今日は上手くできたよ!自信がある!1キロ先から見たら西野カナだよ!そしてオキニのワンピとカーディガン、女子力高めのサンダルでそれなりの愛され上手の激カワガールの完成だよ!
といいところでカズヤから電話がきた。仕事終わったーおつかれー今日何時にどこいったらいいー久しぶりにパルに会いたくてさーパスタでいいー。カズヤの声が心地良い。普段より少し落ち着いてるような聞こえ方なのはきっとアイツが少し疲れてるからだろう。
7時に駅前のロータリーで待ち合わせということになった。歩いても15分くらいで着く、早めに行って時間をつぶしてても良いのだろうけど、面倒なのでおうちにいることにした。どうせまだあと2時間近くあるのだ。限界までソファーにいよう。少し寒くなってきたから掛け布団をかけよう。布団の中ってほんとに気持ちいい。徐々に自分の体温で温まるこの繭は人をダメにする天国からの贈り物だ。そういえば毛、整えてないな。でもいいや、布団気持ちいいし、めんどくさい。
カズヤは何着てくるんだろ?前に一度だけ背広姿で会ってくれたけど、あの時だけは3割マシでいい男に見えたんだよなあ。そういえば夏に誕生日プレゼントで贈ったジーショック着けてきてくれるかな?半年くらい経つけどまだあれ2回くらいしか見てないよ。
アタシの他にもオンナいるんだろうな。
独占欲がないわけじゃないけど、乙女チックな恋心を最初のエッチでもてあそばれて、それでもまだ恋焦がれてられるほど、アタシだってポジティブじゃないんだけどなぁ。なのになんでだろ?少し切ない。もしかしたらアタシ、カズヤのこと本気で好きになってるかもしれない。
めんどくさいオンナでごめんよ、だけど多分告白はしないよ。アタシはカズヤにとって都合の良いオンナでいいよ。都合の良い関係のまま、もう少しできるだけ長くアタシの寂しさへのクスリでいてくれたら多分それだって贅沢だよ。
アタシはカズヤが好き。
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