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そしてあれから2年。
度々提案しては、何かと理由をつけて断られる。
克也はきっと、子供が欲しくないのだろう。
理由は…思い当たる節もある。
だけど、克也は子供が好きだ。
部下の子供もそれはもうかわいがっているし、子供と遊ぶのもとても上手で。
理由があるのなら、克也の口から聞きたい。
何を思っているのか、どう考えているのか。
私が「こう考えているんでしょ?」と言うのは簡単だ。
だけど、それでは解決しない問題なのだと馬鹿な私でも分かる。
待つ覚悟はできてる。
克也が自分からその思いを打ち明けてくれる日を。
「楓、食べようか。」
料理の乗ったトレイを持った克也が寝室に戻ってくる。
「克也…」
待つ覚悟はできてる?
そんなのは嘘だ。
かっこつけてるだけだ。
今すぐにでも言ってしまいたい。
あなたの子供が欲しい。
言いかけた言葉を飲み込み、そっと微笑む。
「ありがとう。」
胸がギシギシ音をたてている。
この頃…とても気持ちが不安定だ。
時折、どうしてなのかと克也を責めたい気持ちにかられる。
焦ってるのかな、私…。
泣きたくなるのをこらえ、和風スパゲティを口に運ぶ。
美味しいのに、なんだか苦い味がした。
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