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これで、仕事に対する不安はなくなった。
出産までただひたすらに長編を書き続ける。
ある程度ストックさえ作っておけば、出産後育児に専念できる時間もできるだろう。
私の子供時代は、あまり親にかまわれなくて寂しい思いをした。
だからこそ、自分の子供にはそんな思いをさせたくはない。
この子を愛して、慈しんで、一瞬一瞬を大事に育てていきたい。
そっとお腹に触れる。
言いようのない幸福感に満たされ、自然と口元が綻ぶのをおさえきれなかった。
「もうすっかりお母さんの顔ですね。」
笠井さんがそういうのに、笑顔で返す。
「きっと妊娠を知ったら克也さんも大喜びですね!!」
そう言われ、顔が強ばるのを感じた。
喜んで、くれないかもしれない。
このことを言ったら、克也はなんて言うんだろう。
あの優しい笑顔を見せてくれる?
それとも・・・・・困った顔をするんだろうか。
「先生・・・・・?」
笠井さんが私を呼ぶ声も耳に入らないほど、私の頭の中は不安でいっぱいだった。
今日、克也は帰ってくるかな?
逃げ出してしまうかもしれない。
自分自身の傷から・・・・・。
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