精霊の儀

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僕は今祭壇の前まで来ている。 遂に待ち焦がれた精霊の儀を行うと思うと、いてもたってもいられず先に動き出したアス兄を差し置いて前へと飛び出してしまった。 通り過ぎる時のアス兄の不満そうな横顔が目に入ったが後でちゃんと謝れば許してくれるだろ。 祭壇を前に守護隊長を一瞥する。 「始めろ」 「我、契約を望む者なり。我と共に歩む者、我が声聞き届けよ」 守護隊長の言葉を合図に呪文を紡いでいく。 紡ぎ終えると、手を翳していた祭壇より光が溢れ出してくる。 一先ず、成功したという安堵感が心を満たしていく。 しかし、問題はここからで綻びかけた表情筋を再度引き締める。 あのアス兄の道を共に行くためには、力が必要でミリアって子のの同時召喚ような結果が欲しい。 精霊契約は潜在能力に反応するものであり、何かをすれば良い結果を引き寄せることが出きるのでないが自然と伸ばしている腕に力が入り強張る。 「来い」 意味がないとわかりつつも光に向かって叫ぶ。 次第に収束していく光と共に顕になっていく精霊の姿に思わず息を呑む。 強者のみが纏うであろ存在感。存在感、いや威圧感ともいえる感覚にじわりじわりと押し付けられて額から汗が滲み出てくるのがわかる。 空のように薄く透き通った青に、如何なる刃にも屈することのない強靭な鱗を纏い、背に宿した翼は如何なる山々も越えることを可能とし、鋭利な鉤爪は全てを引き裂くことを可能とする。 一般的に竜と呼ばれる種族が 顕現していた。 思いが通じたと言うべきなのかも知れないが、全てを蹂躙することが可能であろ佇まいに死を連想してしまい、無意識に後ずさってしまう。 例え精霊が召喚主に危害を加えることがないとしても、生存本能が危険だと警鐘を鳴らす。
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