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~♪
~♪ ~♪
綺麗な歌声だ…
~♪ あ゛ァ~♪ ~♪
一瞬、しゃがれたおっさんの声が混じってた気がしたが気のせいだろう。
~♪
ほら、やっぱ「あ゛~ あ゛~あ゛~」
「安眠妨害だ。ダミ声」
歌声に誘われる気持ちいい睡眠の中、突如混じってきたダミ声に思わず声を荒げてしまった。
声の聞こえてきた方に顔を向けて唖然となった。
二人で並んで歌ってることからデエットなのだろうか。
きっとダミ声が合間に歌っていることからコーラス的な役割なのだろ。
声色とは裏腹にダミ声の持ち主はブロンドヘアーに透き通った肌に特徴的な尖った耳を持つ整った顔をしたエルフと言われる女性であった。
そして、美声の持ち主が一言で表すなら禿げたドワーフ。
説明するのなら横にいるエルフの半分の身長で筋肉隆々、無精髭にてっぺん禿げのおっさんだった。
別に俺は見た目と声が相反していることに唖然としているんじゃない。
おっさんの服装が問題なんだ。
おっさんの上半身はパッションピンクのプレートアーマー、下半身は純白のフリルのロングスカート、そして、背からは体から少しはみ出る程度の天使のような翼が見えている。
人の服装にとやかく言える程のセンスを持ち合わせている訳でもない俺でも引くことのできる装いに関わってはいけないと脳が警鐘を鳴らした。
俺の声には特に反応を示すこともなく歌い続けているため、気づかれる前にこの場を去ろうとうつ伏せのまま、ほふく前進の要領でゆっくりとその場を後退していく。
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