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「あれは画がシュール過ぎるだろ」
無事にドワーフとエルフの演奏会を後にすることができた俺は、大木を背にし愚痴を漏らしつつも、現状理解に努めようと思考する。
俺は精霊の儀をしていて、光が出てきて光が増えていていって目が開けられなくて気がついたら森の中で今と…
うん、意味がわからん。
ドゴォォオン
「次から次へと…」
どうやってここから抜け出そうかと思案していると前方より何かの来訪を報せる地鳴り響き渡る。
音の発信源を確認しようと喉から出かけた言葉を切り、目を細める。
木々に阻まれ全容を把握することは叶わなかったが、それでも此方に向かってくる存在が危険であると言うことは認識することはできた。
①隠れる
②逃げる
③戦う
と頭の中で選択肢を思い浮かべてみた。
ドゴォォオン
その間にも二回目の地鳴りが響き渡り、距離は最初に見た距離より半分も縮まっており、その全貌が明らかになった瞬間頭の中で②逃げるを全力でプッシュして逆方向へもうダッシュする。
全力で駆けながら後方の様子を伺うと、その光景に目を見開く。
くそ、一体何がどうなってるんだよ。
心の中で悪態をつきながら迫り来る黒い球体を一瞥し、一直線に迫り来る球体を避けるべく斜め方向に進路を変更していく。
急に全力で走ったのと混乱していたために息を整えて走ることが出来ず、荒い呼吸を繰り返す。
急な疾走で横腹が痛い、もういっそのこと走るのをやめようかと思い始めると急に日の光が遮られて辺り一面が暗くなる。
荒い呼吸を整えるために下を向いていた首をもたげれば、先程後方にあった球体が頭上を通り過ぎていくのが目に映った。
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