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ドゴォォオン
俺の頭上を通り過ぎて行った球体は、数十歩先で爆音と地鳴りを響かせて着地した。
「マジか」
球体は優々と俺を飛び越えていった訳だが、着地地点に雨が貯まれば池となるのではと思わせるような大穴を作り上げた。
自分が狙われていた訳ではなかったことに安堵しつつも、今しがた目の前で起きた現象が信じられなく目を擦って見間違いでないか確認する。
「木動いたよな」
俺の目の前で今しがた起きたのは、球体が着地する寸前で真下にあった木々が動いて球体を避けたのだ。
木に擬態する魔物がいるのは知識として知ってはいるが、森の一部が切り取れる程の数が群れとして活動するかはわからない。
木が魔物かもしれないという可能性を孕んでいると認知すると周囲の木全てが魔物に見え、魔物の巣窟にいるように気がして心臓が早鐘を打つ。
ここから離れないと。
身の安全を確保すべく、森から抜けるために止めていた歩を再び進める。
◆
「どこまで続くんだよ」
暫く何となく陽の出ている方角に向いて歩き続けたが、いっこうに森から出れる気配はなく、慣れない森の中を長時間歩いたことによる疲労から少し立ち止まって小休止をとるために木を背に寄りかかっていた。
どうしたものかと考えていると不意に背に違和感を感じる。
普段なら気に止めることはなかったんだろうが、背に当たっている瘤が妙に気になり、預けていた背を離して振り返り木を見つめる。
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