始まりの剣

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一呼吸。大きく息を吸い込み、一拍おいて握っている手に力を込める。 そして、勢いよく手を上へと持ち上げる。 重厚な雰囲気を漂わせ、固く突き刺さっているイメージと相反して、思いの外簡単に抜き出すことができた。 その為、イメージに合わせて足に力を込めて踏ん張ったため、思わず二、三歩たたらを踏んでしまった。 「えっ」 緊張のあまり後ろに人が居ることを忘れていた。 彼女はたたらを踏んだ俺を支えるように後ろから抱き止めていた。 「そんなに勢いをつけて抜かんでもよかろうに」 耳元から聞こえる声と背中にあたる柔らかい感触に頬に熱が集まってくるのがわかる。 「ご、ごめんなさい」 俺は慌てて彼女から離れる。 「ふむ、何を慌てておる。まぁ、一先ず此れで契約完了だな。よろしく」 そう言って彼女は俺に向かって手を差し出してきた。 何がなんなのか分からず、俺は差し出された手を見つめている。 「ほれ」 催促され一先ず握り返す。 「一体何が完了したんだ」 「なんだお主何も分からずにやっておったのか」 わからないから聞いてみれば何言ってんんだよみたいな呆れ顔で返事が返ってきた。 「お主は精霊の儀をやっておったんだろ。なら、精霊契約が完了した他になにがある」 「じゃあ、こいつが俺の精霊なのか」 俺は手に握っている重厚な輝きを放つ此れから伴に戦っていくくになるだろう片刃の剣に視線を落とす。 にしても、剣て位は何だろう。剣が精霊であった事例なんて俺の知る限りでは聞いたことがない。 「何を勘違いしておる。お主の契約精霊は此方だ」 彼女の言葉に剣から視線を外し顔を上げれば、自分を指差しにっこりと微笑んでいる。
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