始まりの剣

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「なんだ?そんなに目を見開いて。私では不服か」 「いや、そんなことは…」 想定外。 この一言に尽きる。 契約精霊は亜人種や幻獣といった勝手なイメージから、今目の前にいる女性が精霊であるという観念がそもそもなかった為に驚きを隠せなかった。 「まぁ、よい。改めてよろしく」 差し出された手を今度は戸惑うことなく握り返す。 「よろしく。でも、人の精霊なんて初めて見たよ。それよりもここはどこだ」 「急に質問攻めだな。まぁ、よい。答えてやろう」 「ここは精霊たちが住まうアルフヘイムの森じゃ。人形精霊を見たことないというのは人形をしておるのが神位で数が少ないからだろう。どうした?また目を見開いて」 どうしたって、こいつ今何て言った。聞き間違いじゃないよな。てか、俺のキャラが短時間で崩壊しかけている気がする… 「今神位って…」 「そうだが何か問題でもあるか」 どや顔で豊かな胸を張って言ってきた。 美人なだけに非常に残念な気がする。 「ないが。でも…いや、もういいや。なんか疲れた」 溜め息をつき項垂れていると、木漏れ日が遮られ辺りが暗くなる。 急な変化に何事かと顔を持ち上げると上空一面を黒い球体が覆い尽くしていた。 「に、逃げるぞ」 彼女の手を取り走り出そうとするが動こうとせず、口の端を吊り上げ持っていた手を振りほどかれる。 「まぁ、そう慌てるでない」 反論を試みようと口を開きかけたが、言葉を発する前に彼女は膝を曲げ上へと飛び上がった。
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