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祭壇から戻ってきた少女の手に握られたは二つの精霊石を見て「ミリアすご~い」や「俺もやってやる」などの称賛や意気込みを唱えている三人組。
「同時召喚とか凄いね」
あの子ミリアって言うのか…
同時召喚に興奮しているリヒトとは違い、何故か今まで顔を見たことがある程度だっただけなのに俺はあの子の名前の方が気になっていた。
精霊石は精霊との契約の証であり、呼び出すための媒体である。
形や大きさは精霊毎に違い、並外れた硬度と強度を誇っており、精霊石を加工、破壊することは不可能だというのが万人の知るところである。
その為、持ち歩く為に装飾品や武具に取り付けるスタイルが一般的となっている。
その後、順に赤髪の少年がその髪色と同色の鮮血の赤の鬣を持つ獅子を、明るい金髪の少女が背に翼を持つ少年を召喚した。
俺とリヒトだけになり、最後は注目されそうで嫌なので先に行こうと一歩を踏み出す。
「アス兄、僕が先に行くよ」
踏み出した一歩目が地につく前に、隣より声をかけられ進むことを遮られ、横をリヒトが颯爽と祭壇に向けて歩んでいく。
おい、俺の方が先に行こうと意思表示しただろ。と心の中でごちりながら、遠ざかるリヒトの背を見つめる。
余程早く儀式を行いたかったのか、既に祭壇の数歩手前まで歩を進めてているので今さら止めることもできないし、一度言い出したら聞かない彼奴の性格から仕方がないと諦め、出かかった溜め息を飲み込み、先程立っていた位置まで戻り祭壇から距離を開ける。
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