お月様と人魚

第1章

人魚たちが、歌を歌い終えると、次々に海の中に帰っていきました。

最後に残った人魚がいました。一番美しい人魚のリリーです。髪はお月様と同じ金色をしていました。瞳は、海の色をしており、真珠の肌をしている。人魚です。

リリーが海に飛び込もうとしていたとき、背後から、近づくものによって、腕を

つかまれて、海に帰ることができなくなりました。

驚いた、リリーは腕をつかんだものを見ました。そして、目を大きくしてそのも

のを見つめました。

そのものは、とても美しい若者でした。短い黒髪に黒真珠の目の色をして、肌は、琥珀色をしていました。しかし、目がとても鋭くて、怖い顔をし

ていました。

リリーは、怖くて体が震えだしました。そして、震える声で、言います。

「離してください。」というと、相手の顔を見ました。

相手の男は、「いいや離さない。俺は、お前が気に入った。俺と一緒にこい。」

というのです。リリーは、「いいえ、だめです。私は、海を離れて暮らすことは

できません。そんなことをすれば、私は、死んでしまいます。だから、離してく

ださい。」というのだ。リリーの目には、うっすらと涙が浮かんでいました。