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その男は、リリーの涙を見ても、リリーを離すことはしなかった。
美しい人魚を自分のものにしたかった。
だから、リリーを抱き上げると、自分が造っている、
入り江にある生簀にリリーを連れて行った。
その様子を見ていた、お月様はとても悲しみました。
お月様は、大切なリリーを助けたくって、たまりませんでした。
生簀に連れてこられたリリーは、仲間のところへ帰りたくてたまりませんでし
た。
毎日泣きました。
そして、お月様を見つめながら、「お月様、みんなのところへ帰りたいのです。
どうしてあの人はこのようなひどいことをするのでしょうか。
人と、人魚は一緒には暮らせないのに。」というと、また涙を流すのでした。
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