第1章

6/10
前へ
/10ページ
次へ
人魚を連れ帰った。若者は毎日、人魚を見に生簀に来ています。そして、人魚に 話しかけます。「俺は、お前が好きだ。だから、ここで暮らしてほしい。」と言います。 しかし、リリーは首を縦に振りません。それに、若者と話すこともしません。 ただ、悲しそうな顔を若者に向けるのでした。若者ははじめは、怖い顔をしてい ましたが、毎日リリーを見ているうちに穏やかな顔になりました。 そして、毎日リリーに話しかけることによって、リリーへの思いを募らせるようになっていきました。 しかし、その思いは、リリーには届くことはありませんでした。それでも若者は、リリーの姿を見れるだけでいいと思っていました。 リリーは、早く帰りたくて、若者に言います。 「私を早く返してください。私はあなたとは一緒に暮らすことはできません。私は、ここにいたら、病気で死んでしまうでしょう。」といいます。 それを聞いた若者は、それでもリリーを離そうとはしませんでした。自分の欲望のためにリリーのことは考えないのです。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加