お月様と人魚

第1章

そんなことをすれば、村人たちが困るからです。海に出れば、いろいろと災難に出会い魚が取れなかったり、しています。

それもこれも、すべては、この若者が人魚を海に帰さないからです。

お月様が怒っている、海の魚たちが怒っている。だから、魚が取れないのです。

若者は、リリーに言いました。

「お前は、海に帰りたいのか。俺のそばにはいてくれないのか。そんなに俺のことが嫌いなのか。」というと、若者は初めて悲しそうな顔をすると、涙を流しました。

リリーはその涙を見ると、胸が少し痛みました。そして、言います。

「あなたと、私は、住む世界が違うのです。あなたは、人間陸でしか住むことができないのです。しかし、私は、人魚です。海でしか住むことができないのです。だから一緒に住むことはできません。」というと、若者の顔を見ました。

若者は、やつれた顔をしていました。

村人から、非難を浴びて悩んでいたのです。それに毎日、人魚のことを思って眠

れなかったのです。