.。o○.4年前の夏。o○

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私から少し離れると… 「向こう…行くよ?」 そう言いながら、 抱き上げられて、ゆっくり奥に歩いていく。 「座って?」 ストン…とゆっくり降ろされて、 言われるままベッドの端に座ると、司の腕が身体を包んでくれて… そっと離れて浴衣の帯を器用に解いていく……。 ……ヤッパリ、 恥ずかしくて、そっと襟元を押さえながら司の胸に顔を埋めた。 「ふっ、葵…可愛い…」 「………」 なにも言えず、 顔を熱が襲ってくる。 「顔…見せて…」 ゆっくりと顎に手を添えられて、顔をあげると… 「……っ…」 私の吐息を呑み込むようなキスをされて、 息もつけないぐらいに呑み込まれて… 頭の中まで、芯の方まで、麻痺していくように、 なんにも考えられないぐらいに感覚がなくなってゆく。 「葵…見て…」 ……司の優しい瞳が 揺れたと思ったら、 また、優しく口付けてくる。 「…っ…ん…」 そしてゆっくりと浴衣の生地が、肩を滑り落ちて… 身体もゆっくりと司の下に、組み敷かれていく。 「葵…俺のこと見てて…」 「……っ…」 何度も優しく、 安心させるように 囁くような声で、名前を呼んでくれる……。 ……そうして ゆっくり、ゆっくりと… 司の腕が身体を抱き寄せて、 身体を優しく少し冷たい手が、 指先が私の体温と混ざっていくように…溶けてゆく。
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