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「あの浴衣が、いいと思うけどなぁ…」
「……う~ん。けど、これ綺麗!どうしよう。……ん、司、なんか言った?」
「……前のが、似合ってた…」
「……あ、去年の?」
ーー暑い夏。
また、阿波おどりのシーズンが間近になっていた。
司と出逢うことが出来た……夏。
ずっとこれからも、忘れることなんて無いんだろうな……。
そう思うと、はしゃいでしまう私。
店に入れば、新作の浴衣や水着が沢山あって、欲しくなって見てしまう。
さっきから、
機嫌悪いような司だったけど。
理由が解って、頬が緩んでしまった。
「でもなぁ、古いし。買い替えようかなぁ?」
嬉しくて、わざと意地悪を言ってしまう。
「浴衣や、どれでも一緒やろ」
「うん!ヤッパリ、買うのやめとく」
怒ったように言う司の腕に、
自分の腕を絡めて顔をくっつけた。
「葵、暑いんやけど…」
「クーラー効いてて、寒いもん」
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