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「うわぁ、びっくりしたっ」
「イッテぇ、お姉ちゃん危ないよっ、ボーッとしてたらコケるよ?トロそうだし」
「…あぁ、ごめんねぇ、大丈夫?」
「ここはちょっと痛いけど大丈夫!」
大学病院の診察に来てた私は、お昼前に血液検査を終えて、
診療料金の支払い機の前に並んでたら、近くを歩いてた小さな男の子とぶつかってしまった。
「……けど、お母さんとはぐれちゃった」
「え?!そうなん?」
まだ小さいのに話しもしっかりしてて、
少し茶色っぽい髪の毛は短めでツンツンしてて、口が悪いところが司に似てるような気がした。
これくらいの男の子ってみんなこんな感じなんかな?
司の子供の頃ってこうだったんかなあ……、なんて考えてたら
「お姉ちゃん?ニヤケたらキモイよ?」
小さい子にまで司や由貴みたいなことを言われてしまい、苦笑するしかなかった。
「……ごめん、ごめん、お母さんとはどこではぐれたん?」
小さな男の子の目線に合わせて身を屈めて聞いてみると、
「ごめんは1回でいいし」
「うん、ごめんね、気をつけるけん。僕って何歳?」
「僕と違うもん、竜に司るって書いて竜司(リュウジ)。3歳、はぐれたんはここ」
「そっかぁ、竜司くんっていうん?カッコイイ。それにまだ3歳なんっ?しかっかりしとうって言われん?」
そう言うと、
誉められて照れてるのか、少し顔が赤くなってた。
「それはよく言われる」
口ではそんなことを言ってたけど…。
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