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「剛の運転って怖いんやけど?」
「ウルサイ、送ってもらうのに偉そうにすんな!」
「ごめん」
「わかったらいいけど」
剛と一緒に居るとどうしても言い合いになってしまうけど、
身内だし、歳も近いから気を遣わなくて済む、そういう存在だった。
「大学の近くでいいよ」
「うん」
それだけ言うと後は沈黙になった。
私が短大に通うようになってから、滅多に会うこともなかったから、特に話題もなかったし。
お姉ちゃんのところで色々話しもしたし…。
「あ、ここでいいよ、ありがとう」
「うん、なぁ?葵」
「え、何?」
シートベルトを外してたら、急に話しかけられて剛の方に顔を向けると、
「ちょっ…ん?」
急に近づいてきた剛に抱きしめられた。
びっくりして、
ドンと胸を押し退けても、
「やめてって」
「…葵のこと泣かすようなヤツんとこ行くな」
悲しそうに言う剛の腕はびくともしなかった。
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