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「剛?苦しい、離して!」
「……司ってヤツと結婚するん?」
「……せんよ」
嘘は言えなかった。
結婚したくてもできなくなったし。
でも自分で言っておいて、
悲しくて泣いてしまいそうになったのを我慢してた。
「するんでなかったん?」
驚いたのか、私から少し離れて聞いてきた。
「……剛に関係ないし、なんなん?」
「一応親戚やし、関係ないことないやろ?葵が泣くん見たらイラっとしたし、オモチャとられたような感じ?よーわからんけど」
「え?オモチャって何?ヒッドー」
「からかうヤツがおらんようになったらオモロウないやろ?」
ハハって笑いながら言う剛に力が抜けてしまった。
「そんなん知らんよ、剛、離して」
「ごめん」
「送ってくれて、ありがとう」
そう言ってドアを開けようとしたら、
「何があったか知らんけど、相談くらいは聞くけん。弟みたいなもんやし」
「……あぁ、うん、ありがとう」
いつもより優しい口調で言われて少し驚いたけど、とりあえずお礼を言って車から降りた。
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