.。o○めぐる季節~卒業~.。o○

2/20
前へ
/20ページ
次へ
「葵ぃ」 「…ん?」 司の腕の中で泣いてたら、 顔を覗き込まれ、ゆっくり顔を上げてみると…、 「そんなに泣くなよ」 「ヒック……ごめん」 優しい笑みを浮かべて言われたから、また涙がポロポロ零れてしまった。 もう、泣きたくないのに。 司には、こんな姿を見せたくないのに…。 「こーら、謝んな」 「ヒック…痛いよ」 額をコツンとされて、 司には文句を言ったけど本当は嬉しかった。 「痛いんだったら嬉しそうな顔するな、アホ」 「アホ…違うもん…ヒック」 いつもと変わらない優しい笑顔 今は私だけに向けられているから……。 ずっと覚えていたくて、 もし離れてしまっても、 司の優しい笑顔を思い出したらひとりでも頑張れる気がした。 本当はずっと傍で見ていたいけど…。 だから、 忘れてしまわないように… 消えたりなんかしないように… ぐっと涙を我慢して見つめ返した。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

124人が本棚に入れています
本棚に追加