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「葵ぃ、どしたん?」
気づいたときには、
携帯を由貴に返してから雅人さんと話してた司が私の傍に戻ってきてて、
不思議そうに私の顔を覗き込んできたから
「……え?」
ぼんやり司に見とれてた私はハッとしてしまって、そんなことしか言えなかった。
「俺の方見てたやろ?」
「ううん、ボーッとしてただけ」
「葵ぃ、俺に見とれてたん?」
本当のことを言われて恥ずかしくなって、思わず俯いた。
「違うもん」
とっさに私が言うと、
ぐいっと胸に私の顔を埋めるように抱き寄せて優しく囁いてくる。
「葵ぃ、顔…真っ赤。他のヤツに見せたぁない」
「司ぁ、みんなに見られるよ、離して」
「いいやろ?もう卒業式済んだし、みんな自分らのことに夢中で見てないって。それに葵のせいやろ?可愛い反応するけん」
私の頭にコツンと顎を乗せるようにして、優しく言われたら動けなくなってしまった。
いつもより大人っぽい司にドキドキしっぱなしだった。
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