127人が本棚に入れています
本棚に追加
「司ぁ、恥ずかしいよ」
「ほな、行こう」
胸に顔を埋めたままで居るのが恥ずかしくて、司のスーツの襟を引っ張って伝えると…、
私からスッと離れて歩き出した司にぐいっと腕を引っ張られた。
「ちょっ…、司ぁ、どこ行くん?」
「いーとこ」
「もう、どこなん?」
聞いてもきちんと教えて貰えないまま、司の後についていくと、
図書館の裏に設けられているベンチが置かれた小さな建物だった。
「ここだったら屋根もあるし、見えんやろ?」
「正面からは見えるもん。ちょっ…、んっ」
文句を言い終える前にキスをされて何も言えなくなった。
「……俺の背中が見えるだけやけんいいやろ?」
「もう、いつも強引なんやけん」
少し離れた司が笑いながら言ってきたから、ひとこと言い返したけど…、
「葵がカワイイけんしゃーないやろ?葵のせいやろ?」
「もう…」
私のことを優しく見つめながら囁いてくるから、文句を言いたいのに、また見とれてしまう。
最初のコメントを投稿しよう!