127人が本棚に入れています
本棚に追加
「いつも葵って笑ってた気がする。今は泣いてばっかりやけど、葵にずっと笑ってて貰えるようにこれから頑張るけん、俺のこと見とってな」
「司ぁ」
「また泣く、泣かしたぁないのに」
ぎゅっと抱きしめられた腕のなかで、胸にしがみついて泣きながら時々司の名前を呼んでた。
「卒業式やけんやもん」
「ふ、わかったけん、あんまり泣いたら誰かわからんようになるん違うん?」
「化粧そんなしてないもん、司のアホッ」
「見せてみ?」
「イヤ!」
「いいけん」
泣き止んで怒ったように言ってると、司が顎に手を添えてきたと思ったら顔を上に向けられた。
優しい表情で見つめられて、ゆっくり近づいてきた司にキスをされた。
司とキスなんて何度もしたことあるのに。
司と初めてキスをしたときみたいに緊張してドキドキしてた。
「俺、葵が綺麗やけん緊張して震えてきた」
「雨で濡れたけん違うん?」
最初のコメントを投稿しよう!