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「葵ぃ?」
「……ん?」
「出れんよな?」
「……ごめん」
「いいって」
映画を観終わったあと、
感動してしまった私が司の腕に顔をくっつけて泣いていると
司がソッと胸に顔を引き寄せて周りから見えないようにしてくれた。
「司ぁ、ありがとう」
「いいって言よんのに。泣き顔見られたぁないだろ?アホやなぁ」
いつもみたいに言いながら、
顔を覗き込んでくると指でソッと頬を拭ってくれる司に見とれてしまった。
凄く優しい表情で微笑んでいたから……。
「…葵ぃ、じっと見られたら照れるやろ?」
コツンと頬を拭ってた指で額を弾かれたから
「痛いよっ!」
痛くて額に自分の手を当てて睨むと…、
「そんなに怒ったり笑ったりして疲れんの? 葵とだったら笑いが絶えん家族になれるんだろうな?」
やっぱり、優しい表情で目を細めて言うから何も言えなくなって胸に泣き顔を埋めて隠した。
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