127人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺、葵のことしか考えれんけん。葵のことで頭んなかイッパイやけん。葵に出逢ってからずーっと葵しか見えてないくらいやけん。アホやろ?引くよな?」
「…引かんよ、けど、私のほうがアホやけん」
「負けず嫌いやな、葵は」
「違うもん、私のほうが絶対アホやもん」
「葵ぃ、そういうんは男のほうに言わすもんだろ? カッコ悪いやろ? 俺の身にもなれよな、アホッ」
「ホンマやもん」
「もういいって、葵のことは俺が解っとうけん。葵のそういうとこも好きやけど、俺の前では意地張らんでいいけん、な?」
「司のアホッ」
「そう言うたやろ?アホやなぁ」
泣きそうな私の顔を胸にソッと抱き寄せて頭を優しく撫でてくれた。
時々、柔らかい笑顔を浮かべながら、
時々、照れたような表情を浮かべながら…、
私の顔を覗き込んで言ってくれる司に心を奪われた様な気がした。
司に出逢ってからの私は何度こうやって司に心を奪われてきたんだろう…。
最初のコメントを投稿しよう!