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自分で決めたことなのに…、
覚悟なんてできてなかった私は、顔を両手で覆い隠してその場にしゃがみこんでしまった。
「葵?」
「……うっ…」
剛の心配そうな声が聞こえてくるけど…、どうすることもできなくて、泣き崩れたまま動けなかった。
「…葵」
「……ん?」
どれぐらい泣いてたのか…
気づいたら、剛が背中を擦りながら私の名前を呼ぶ声が聞こえてきて、
少し落ち着いた私は、ゆっくりと声のする方へと顔を上げた。
「…葵も」
「……え?」
言われたことの意味が解らなかった私は剛を凝視した。
「……葵も、また誰か好きなヤツができるかもしれんやろ?」
真剣な表情で言う剛は、
私のことを考えて言ってくれたって解ったけど……、
私は、これから先も司のことを忘れることなんてしたくもなかったし…、
きっとこれから先、
ずっと、ずーっと…、司を忘れることなんてできないって自信があったから、
「…ううん、私、一生…ムリと思う」
剛から視線を逸らさずに真っ直ぐ見つめたまま伝えた。
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