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「……だったら、やっぱり別れるんやめた方がいいと思う」
私の想いを聞いた剛が、ジッと私の瞳を射抜くように強く見つめながら話し始めた。
「…え」
今更、また…そんなことを言う剛にキョトンとしてしまったけど。
「アイツんとこ帰れ!そんな好きなんだったら別れるな!後悔するだけやろ?」
今まで見たこともないような、怖いくらい真剣な表情で強い口調で言う剛に怯んでしまいそうになる。
でも私は、やっぱり竜司くんのことを思うと…、そんなことをする訳にいかないから、
「後悔やせんよ。司と竜司くんのためやもん。ムツくんみたいに、お父さんとお母さんと一緒に居てほしいもん。司には竜司くんにとって優しいお父さんで居てほしいもん」
それが、司にしてあげれる最後のプレゼントやもん。私の願いやもん。って、
ちゃんと笑えてるかなんて自分では解らないけど、笑顔で話した。
剛になんとか理解してもらいたかったから……。
私は自分のことで精一杯で…、剛の想いには気づいてあげることなんてできなかった。
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