120人が本棚に入れています
本棚に追加
こんな日が来るなんて…
思いもしなかったのに…、
どうして現実はこんなに残酷なんだろう……。
いつものように朝を迎えて、
司の腕のなかで目を覚ますと
いつものように眠ってる司が無意識にぎゅっと抱きしめてくる。
離さないっていうように……。
本当はそうやってずっと離さないでいて欲しいのに……。
夢みたいに覚めなきゃいいのに…。
「葵ぃ」
「……ん?」
「今日からお姉さんのとこ行くんやろ?」
「…うん、どしたん?」
「赤ちゃんカワイイって言うて帰りたぁないとか言うなよな? 俺、寂しいけん」
顔を覗き込んできて 、
甘えた口調で言ってくる司を直視することができなかった私は
司にぎゅっと抱きついてからゆっくり起き上がった。
「そんな子供みたいなこと言わんと、起きるよ」
「解っとうって」
いつものように司と一緒にご飯を食べて、くだらない話しをして楽しい時間をゆっくり過ごした。
きっと司と一緒に過ごすことができる最後の楽しい時間。
このまま時間なんて止まってしまえばいいのに……。
最初のコメントを投稿しよう!