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ゴクンと飲み込んだあと、
ゆっくり司の顔を見上げてみると、
「司ぁ」
「ん? 味いけるん?」
司は優しい笑みを浮かべて待ってくれていたようだった。
「ちょっと…、しょっぱいけどスゴい美味しい」
「うそ、塩いれすぎたんか?」
可笑しいなぁって言いながら、
首を傾げてチャーハンの味を確かめる司を見つめていると、不意に司が私に視線を向けてきた。
少しだけ目を細めてふっと笑う司にドキッとしてしまった。
「な…に?」
「葵ぃ、ここ」
ゆっくり手を伸ばしてきたと思ったら、私の下唇をソッと指でなぞるように拭ってくれた。
「葵ぃ、ご飯粒ついとった。ホンマに子供やぁ?」
イジワルっぽく笑いながら指についたご飯粒を私に見せると、
それを食べた司がチャーハンを慣れた手つきでお皿に移しはじめた。
「子供と違うもん」
「葵ぃ? 抱きつかれたら入れれんやろ?」
「うん、ちょっとだけ」
「ホンマに子供やぁ?」
「違うもん」
司に少しでも触れていたくなって、後ろからぎゅっと抱きついたままでいた。
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