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「やっと逢えたのに、こんなことで、はい、そうですかって葵のこと諦める訳ないやろ?
それより。竜司のこと。俺の子供と思うとん?」
「こんなことって、ヒドイ。それに今度は、誤魔化すんっ?」
顔だけ司の方に振り返って言うと、ふぅ…と呆れたように息を浅く吐いて、もっと強く抱きしめてくる。
「誤魔化すも何も、葵ぃ、勘違いしとうやろ?」
「ウソつき!私聞いたもん、竜司くんが司の写真見て、お父さんって言うたもんっ」
「ふぅん、見たって、竜司が?」
「うん。司にそっくりやったし。司っていう字はお父さんの名前からとったって言ってたもん!それでもまだ誤魔化すん?」
「俺から離れたんも、それが理由なん?」
「……竜司くん、お父さんに会いたいって言ってたもん。司にもいいお父さんで居て欲しかったもん。私さえ我慢してたらって思ってたのに、司なんて最低!」
「葵はアホって前から思うとったけど、ホンマにアホやな?」
怒って捲し立てることしか出来ない私のことを抱きしめたまま、
冷静な口調で呟くように言うから、バカにされてるようで悔しくてしょうがない。
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