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取り敢えず、
必要な物だけ司の所に持っていく準備も終わって、私はお茶の用意を始めた。
「葵ぃ」
「すぐやけん、ちょっと待っとって。あったかいコーヒー淹れるけん。……なに?」
司の呼ぶ声に答えると、
急に優しく後ろから抱きしめられた。
「司ぁ?」
「葵ぃ、1人で、よう頑張ったな」
そっと頭を優しく撫でながら、
急にそんなことを言われて、驚いてしまった。
「なに?急に」
「頑張った葵に言うときたかっただけ。葵のことやけん、1人でこの部屋で泣いてたんだろ?考えただけで、胸が苦しい。もう、ここにはおらしたぁない」
司の声が、切なく、震えて、身体に伝わってくる。
司が急いでた理由が解って、司の優しさが身体に痛いぐらい伝わってくる。
「司ぁ…、そんなん言われたら泣いてしまうでぇ。アホッ」
「葵、我慢せんでいいけん。俺になんでも言えよな?これからは、1人で泣くなよな?」
少し、怒ったように言ってから、力強く抱きしめられた。
「泣かした以上に、幸せにするけん。絶対に、後悔させんけん」
泣き出した私を抱きしめたまま、自分自身に言い聞かせるように言ってくれた。
まるで、誓いをたてるように……。
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