.。o○動き出した季節.。o○

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朝になって目を覚ますと、 腕のなかで愛しくて、愛しくて…、堪らない人が安心した表情をして気持ちよさげに眠っている。 傍に居てくれるのが嬉しくて、嬉しくて、夢じゃないんだって何度も確かめたくなる。 自分の胸に大事に抱き寄せて頬に口付ける。 夢じゃないって思っただけで、胸が一杯で、気を抜いたら泣いてしまいそうになる。 そんな情けない俺のこと知られたくなくて、必死に取り繕うけど、無駄な足掻きなんだろうな。 「……司ぁ、苦しいよ」 ぼんやりとした眠そうな瞳を向けてくる葵をもう一度抱きしめる。 「司ぁ?」 そんな俺の行動が不思議なのか、俺の顔を覗き込んで聞いてくる葵。 「葵ぃ、今すぐ葵が欲しい」 「え?朝から?」 「いいやろ?葵のせいで、ずっと寂しい思いしたのに。あかんの?」 「…あかんって言えんの解っとって。ズルい」 「葵ぃ、気づくん遅いな。ホンマにアホやなぁ?そういうとこも可愛いけどな」 「司のアホッ」 「誉めてくれてありがとう」 「もう、誉めてないけん…っん、」 少し、怒りながら、拗ねて唇を尖らせて、頬を赤く染める葵。 どんな葵も可愛くて、愛ぉしくて堪らなくて…、理由をつけては葵を腕のなかに閉じ込める。 もっと、もっと…、俺だけが知っている葵のことを独り占めしたくなる……。
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