123人が本棚に入れています
本棚に追加
朝になって目を覚ますと、
腕のなかで愛しくて、愛しくて…、堪らない人が安心した表情をして気持ちよさげに眠っている。
傍に居てくれるのが嬉しくて、嬉しくて、夢じゃないんだって何度も確かめたくなる。
自分の胸に大事に抱き寄せて頬に口付ける。
夢じゃないって思っただけで、胸が一杯で、気を抜いたら泣いてしまいそうになる。
そんな情けない俺のこと知られたくなくて、必死に取り繕うけど、無駄な足掻きなんだろうな。
「……司ぁ、苦しいよ」
ぼんやりとした眠そうな瞳を向けてくる葵をもう一度抱きしめる。
「司ぁ?」
そんな俺の行動が不思議なのか、俺の顔を覗き込んで聞いてくる葵。
「葵ぃ、今すぐ葵が欲しい」
「え?朝から?」
「いいやろ?葵のせいで、ずっと寂しい思いしたのに。あかんの?」
「…あかんって言えんの解っとって。ズルい」
「葵ぃ、気づくん遅いな。ホンマにアホやなぁ?そういうとこも可愛いけどな」
「司のアホッ」
「誉めてくれてありがとう」
「もう、誉めてないけん…っん、」
少し、怒りながら、拗ねて唇を尖らせて、頬を赤く染める葵。
どんな葵も可愛くて、愛ぉしくて堪らなくて…、理由をつけては葵を腕のなかに閉じ込める。
もっと、もっと…、俺だけが知っている葵のことを独り占めしたくなる……。
最初のコメントを投稿しよう!