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「……葵ぃ」
「うん…」
どれくらい、そうしてたのか…
司がもう一度ギュッと抱き寄せてから、落ち着いた声で名前を呼ばれて、顔をそっ…と上げてみると…、
優しくジッ…と真剣に見つめられて動けなくなってしまった。
「俺、もう…葵のこと離したぁない」
「………」
動けないで居る私を見つめながら、何かを堪えるようにして、言葉を紡ぐ司にぎゅうっと胸を締め付けられる。
もう…どうなってもいいって思ってしまう。
司の傍でずっと居たいって欲が出てしまう。
司と離れてた間の想いが溢れてきてしまう。
逢いたくて、逢いたくて…、
一瞬も忘れることが出来なかった司への想いが、止めどなく溢れきてしまう。
「葵ぃ、一緒に帰ろう?俺んとこ帰ろう?」
「………」
もう…これ以上司を苦しめたくなくて、司の想いに応えてしまおうとしたとき…、
「ごめんっ…、待つって言うたのにな…」
司が私を自分の身体からガバッと思いきるように引き離した。
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