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「葵ぃ。そんな怒らんでもいいやろ?」
「司が無神経やけんでぇ」
怒った私が思わず振り上げた手首を強く掴んで、顔を覗き込んでくる。
「やめて!見るなっ。アホッ」
「イヤ、葵の顔ずっとこうやって見ときたい」
「アホッ」
「葵ぃ、なんで、そんな辛そうに泣くん?俺に逢うたんがそんな、イヤなん?」
ふっ…と瞳を伏せて、
寂しそうに言う司の表情(かお)を見てたら、どうしていいのか解らなくなってくる。
「逢えたんは嬉しいけど、竜司くんが居るのに…。なんで、私に離れるななんて言えるん?無神経としか思えんもん。辛いだけやもん」
「なぁ、ほなけんなんで竜司が出てくるん?関係ないやろ?」
私の言葉を聞いて、呆れたように言ってくる司に我慢できなくなってきた。
「司の子供やもんね。私には関係ないよね!そんな風に言われるなんて思わんかった。司って最低!もういい。自分で帰るっ!」
司の腕を振り払って、
ドアに手を掛けて車から勢いよく降りようとするのに…、
司に後ろから抱きすくめられて阻止されてしまった。
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