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「葵ぃ」
「司ぁ…、うぅ…」
泣き止んだ私が待ち合い室で待ってたら、司が戻って来た。
司の姿を見たら、また涙が出てきてしまう。
司はゆっくり近づくと、ぎゅうっと強く抱きしめてくれた。
「葵ぃ、もう、いけるけんな」
「うぅ…司ぁ」
「葵ぃ、ヨシヨシ。ひとりでよう頑張ったな」
「うぅ、司ぁ…子供…違うもん」
「ふっ、そうやな」
司が傍に居てくれるって思っただけで、司のあったかい腕の中で居ると思っただけで、凄く安心できる。
けど、
司の仕事にまで迷惑かけてしまったんじゃないかと思ったら…、
司に申し訳なく思ってしまう。
それに、
司以外の男の人に、触れられたって思ったら…、
そんな自分が嫌で嫌で堪らない。
でも司から離れるのも嫌で、自分でもどうしたらいいのか解らなくて、
ただ司に抱きついて泣くことしか出来なかった。
司は私が落ち着くまでの間、
ずっと優しく、背中を擦りながら、優しく話しかけ続けてくれた。
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