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「……で、うちが贔屓にしとう製薬会社のMR(医薬情報担当者)が、なんでここにおるん?」
開き直ったような態度で、
司に対して見下したものの言い方をする倉田先生。
「今は仕事関係ないやろ?俺の担当でもないし。
ここに来たんは、葵の携帯に繋がらんかったけんやし。来たら、葵の車も、お前の車もあるのに、受付で2人とも帰ったって言われたけん、可笑しいと思って入らして貰った」
私を抱きしめたまま、頭を優しく撫でながら話す司にしがみついてた。
「ふぅん、勘がいいな?」
「お前、大学の時も噂になって、大学の連もやめさされたやろ?ホンマにだったとは思わんかったけど」
「……事実でないし。小泉もその気になっとったし」
「ふざけんな!そんな訳ないやろ?こんなに怖がらしとって」
「ちょっと、小泉、どうしたん?」
司と倉田先生が言い合ってると、
琴子先輩が入ってきて私の近くまで来てくれたら、司が私から離れていこうとするから、咄嗟に腕を掴むと…、
「葵ぃ、ちょっとだけ話ししてくるけん、先輩と一緒におってな。直ぐに戻ってくるけん、ごめんな」
って優しく頭を撫でながら言ってくれたから、倉田先生が言ってた司の仕事のことも気にはなったけど、コクンと頷いた。
「外に行こう」
そう言って、倉田先生と一緒に診察室から出て行ってしまった。
「小泉、いけるん?」
「琴子せんぱぁい」
私は琴子先輩に抱きついて、暫く泣き続けた。
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