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「失礼します。新郎様がお入りになります」
美容師さんのその声で、ゆっくり振り返ると、紋付き羽織袴姿の司が視界に現れた。
出逢った時のように、髪も短めにカットされて、キリっとした印象の司によく似合ってて、本当に格好よくて、瞳を奪われてしまった私は立ち尽くしたまんま動けなくなってしまった。
「葵ぃ、馬子にも衣装やな?」
「…司こそ、七五三みたい」
笑いながら、そんなことを言ってくるから、ムッとした私も負けずに言い返した。
司が私の近くに近づいてきた頃には、気をきかせてくれた美容師さんは部屋から居なくなっていた。
「葵ぃ」
「ちょっ、司ぁ?」
名前を呼ばれたと思ったら、司にそっと腕に包まれてた。
「葵、綺麗すぎ」
「司も、カッコ良すぎ」
私も司の背中にそっと腕を伸ばして、時間がくるまでの間、2人寄り添ったままでいた。
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