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「司ぁ、歩くよ。恥ずかしい」
「いけるって。もう、遅いけん、人おらんって」
エレベーターから降りて、何度言っても降ろしてもらえなくて、仕方なく…胸に顔を埋めて隠した。
部屋に着くと器用にカードキーを出してドアを開けて入ると、後ろ手に閉めて、ベッドまで来ると、ゆっくり寝かされた。
「葵ぃ、白無垢も、ドレスも、どっちも似合ってて、スッゴイ綺麗やった」
「お世辞でも嬉しい。司のほうこそ似合ってたよ?」
覆い被さるようにして、顔を覗き込んで言ってくる司にドキンとさせられた。
艶っぽい瞳に吸い込まれそうで…。
「お世辞違うって。葵はホンマに自分のこと全然わかってないよな?」
「え、何を?」
なんのことを言われてるのかさえ解らなくなるくらい、緊張してしまう。
「教えん。葵はそういう鈍感でアホなとこが可愛いけん」
「ヒドイ」
「どうせ、言っても信用せんクセに。葵は出逢った時から、ホンマに変わらんよな?可愛いて堪らん。ずっとそのままの葵でおってな?」
「んっ…」
真っ直ぐ、私の瞳の奥を伺うようにして、そう言いながら見つめた後、ゆっくり、深く…、深く、口付けられた。
ゆっくり、ゆっくり…、角度を変える度に、深くなって、全てを絡め取られてゆく。
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