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「葵ぃ」
薄暗い部屋の中で、
司に抱き寄せられたまま、胸に顔をくっつけて鼓動を聞いていると、呼ばれて司の顔を見上げた私は、
「ひゃっ…」
「そんなにびっくりせんでもいいやろ?」
急に司の身体の上に抱き上げられて、驚いて変な声を出してしまった。
それを、笑ってからかうように言われて、キッと司を睨んだら、ぎゅうってきつく抱きしめられ、今度は文句を言うと、
「もう、苦しいよ、離してぇ」
「イーヤ。離したぁない」
「ぷっ…、」
…なんて、
子供みたいな言葉が返ってきたから、堪らず吹き出してしまった。
「笑うなよな?アホッ」
そんな私に拗ねた司の声が返ってきて、また可笑しくて手で口を塞いで笑ってたら…、
また身体をヒョイッと持ち上げられて、コツン…と額と額をぶつけられた。
「痛いよ。司が子供みたいで可愛いんやもん」
「可愛いって言うな!」
今度は、私の言ったことにムキになって言い返してくる司に笑ってしまう。
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