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なんだ、この大人は。
いい歳して、こんなにも世話が焼けるのか。
正直言って、こんな時間に、男性の、しかも上司の一人暮らしの部屋に上がるのは気が引ける。
でも、朦朧としている彼をそのままにして帰るなんて、そこまで薄情にはなれなかった。
「失礼します」
半分怒り口調でそう言ってブーツを脱いだ私は、彼を引きずりながら寝室を探す。
ちょうど一つ目の部屋にベッドがあったので、暗がりの中、そこまで連れて行き、渾身の力で彼の体を起こしてベッドに寝かせた。
「あいがと……」
瞼がくっついてしまいそうな羽島さんが、まどろみながらもそう言って、私を見る。
「ね」
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