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「……」
手首を掴まれ、ベッドを離れようとした私は固まった。
大した力じゃなかったけれど、さっき体をくっつけながら支えて歩いていたにもかかわらず、その手の熱さにひるんでしまう。
「なんで名乗らなかったの?」
「……」
玄関の照明が辛うじて少し入ってくるだけの、薄暗い室内。
布団に半分入っている羽島さんから見上げられ、目と目がしっかりと合う。
逸らしたら負けだ、と思った。
「……だから、勘違いです。羽島さん、熱でおかしくなったんじゃないですか?」
「じゃあ、なんで俺の好きなプリン知ってるわけ?」
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