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真剣な顔をしている羽島さんが、プリンなんてかわいい単語を出すから、私はふっと笑ってみせる。
「偶然ですね、私もあのプリン好きなんですよ。だから買ってきたんです」
「……」
言い返そうにも力が出ないのか、私の手を解放してハァーッと大きな息を吐いた羽島さんは、両手で顔を覆い、
「もーいい。わかりました。勘違いですね。はいはい」
と投げやりに言い放った。
そして、またケホッと咳き込む。
「誰と勘違いされてるんですか?」
ベッドから立ち上がり、床に置いていたバッグを肩に掛けながら聞く。
「だいぶ前の元カノ」
「へぇ。どんな……」
「やり逃げ女」
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