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「差し障りがあるんですか? 業務に」 「いえ、そこまではないんですけど……」 なんとなく歯切れの悪いような返事をすると、 「思い出は不純物らしいですからね」 と、ポツリと言う南条さん。 「え?」 「思い返すほどに、嫌な記憶はもっと苦い思い出になるし、いい記憶はより美化された思い出になる。 過去はただの過去にかわりないのに、主観だらけの誇張された捏造物になる」 「……」 「って、なにかの本に書いてありました」 「……はぁ」 つ……、つかめない、南条さん。 「まぁ、なにかやりづらいことがあれば、ご相談にのることくらいはできます」 「わかりました。その時はお願いします」 心強いのかどうなのかは置いておいて、とりあえず私はペコリとその横顔にお辞儀をした。
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