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「南条さんて……」
そんな中、南条さんに、興味半分、小宮さん協力半分で口を開く私。
「はい」
「彼女……います?」
「彼女はいません」
普通の答えだけれど、イケメンが言うだけで、その“彼女は”の“は”が意味深に聞こえるのはなぜだろう。
彼女はいないけど、遊び相手ならいます?
それとも、彼女はいないけど、彼氏ならいます?
それなら、かえって小宮さんは興奮するのかな。いやいや……。
「好きなタイプとか……」
勢いに任せてズケズケと聞こうとしていると、背後から、
「た……、ただいま戻りました」
と、蚊の鳴くような声。
私が振り返ったときには、すでに南条さんが手を差し伸べて、小宮さんを支えていた。
結局そこでお開きになって、半べそをかきながら「大丈夫です」と「ごめんなさい」を連呼する小宮さんを、南条さんが送って帰った。
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