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ガヤガヤとした店内。
店員を呼ぶチャイムが絶えず鳴り響いている。
ファミレスに着いた私達は、注文を終え、テーブルを挟んで正面に座っていた。
「日替わりランチとかじゃなくて、もっといいやつ頼めばよかったのに」
眼鏡を外してテーブルの端に置いた羽島さんは、目頭を指でつまみながら言う。
「日替わりランチが食べたかったんです」
「じゃあ、食後にパフェでも追加で頼む?」
「いりません」
「遠慮しなくていいよ。甘いもの大好きだったでしょ?」
顔を上げた羽島さんと視線がぶつかる。
真顔対真顔で、しばし沈黙。
「勘違いだったって認めたんじゃなかったんですか?」
「あー、そうでしたね」
「……」
ほら、こんな感じになるってわかってたから。
だから、2人きりで話したくなかったのに。
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