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「この前ね」
頬杖をついて窓の外を見ながら、静かなトーンで話し出す羽島さん。
「……はい」
「実家に帰ることがあったんだ」
「へぇ……」
私はテーブルに置かれた彼の眼鏡を見つめながら聞く。
「で、誰かが忘れたままの生徒手帳、以前の机の中にしまったままだったから、出して見てみたんだけど」
「……」
「その生徒手帳、見開きのカバー部分に俺とその持ち主の子のツーショット写真が挟んであってね。まぁ、それは当時も開いて見たから知ってたんだけど」
「あの……」
「その写真を取って、後ろに書いてあった在学証明欄までは見てなかったんだ。だって、持ち主は俺の彼女だって分かってたから。
で、この前、写真を抜いて見てみた」
「……」
「三浦菜乃香」
「……」
「って書いてあった」
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