≪10年前≫

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「ええっ! つきあうことになった!? 若と?」 「しー、しー、しー!!  同じ車両に乗ってるんだから声小さくしてよ、カッチン」 OKをもらえた次の日の朝。 登校の電車の中でカッチンの口を慌てて押さえる。 「早っ!」 「だって、たまたま昨日帰りが同じ電車で……」 話しながら、この車両の一番端を見る。 昨日の朝と同じ席に、いつもどおり羽島さんが座っている。 視線が合わないところを見ると、幸いにもこちらの会話は聞こえていなさそうだ。 でも、私は彼を見ただけで顔が熱くなり、パッと視線を戻した。 「ていうか、カナ。近くに行かないの? 挨拶すらしてないし」 「それがね、友達の前で女の子と話すの、嫌みたいで……」 「え? なにそれ」 「たぶん、恥ずかしいんじゃないかな」
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