5662人が本棚に入れています
本棚に追加
「ええっ! つきあうことになった!? 若と?」
「しー、しー、しー!! 同じ車両に乗ってるんだから声小さくしてよ、カッチン」
OKをもらえた次の日の朝。
登校の電車の中でカッチンの口を慌てて押さえる。
「早っ!」
「だって、たまたま昨日帰りが同じ電車で……」
話しながら、この車両の一番端を見る。
昨日の朝と同じ席に、いつもどおり羽島さんが座っている。
視線が合わないところを見ると、幸いにもこちらの会話は聞こえていなさそうだ。
でも、私は彼を見ただけで顔が熱くなり、パッと視線を戻した。
「ていうか、カナ。近くに行かないの? 挨拶すらしてないし」
「それがね、友達の前で女の子と話すの、嫌みたいで……」
「え? なにそれ」
「たぶん、恥ずかしいんじゃないかな」
最初のコメントを投稿しよう!