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ほら、取りつく島もない。
仮に1年くらい時間をかけて仲良くなったとしても、キスしたのかどうかなんて聞ける雰囲気にはならなさそうだ。
いっそ、潔く「したんですか?」って聞いてしまいたい。
でも、小宮さんが首を縦には振らなさそうだし……。
あぁ、ほら。他人のことに首を突っ込むと、ろくなことにはならない。
引き受けたことを早くも後悔しだしていると、
「では」
と、フロアへ戻ろうとする南条さん。
「あっ」
そのあっぱれなクールさに、思わず引き止めてしまう私。
「なんでしょうか。例の件のことなら秘密にしておきますが」
「あ……いえ……、その……」
あぁ、そうだ。羽島さんとの過去のこと、話したんだった。
……ん? 待てよ、これを利用して……。
「その件で相談に乗ってくれるっておっしゃいましたよね?」
「……はい」
思い出すように視線を軽く斜めに上げた後、返事をする南条さん。
「相談に乗ってほしいんですけど」
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