≪現在≫

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「今夜の件ですけど、どうします?」 トイレに行くためにフロアを出ると、廊下を反対側から歩いてきた南条さんに呼び止められた。 そうだ、今日は南条さんと食事に行くんだった。 立ち止まって少し考えた私は、南条さんを見上げて、 「おすすめのお店とかあります?」 と聞いてみる。 「創作イタリアンでもいいですか?」 「もちろんです。南条さんて、お店詳しいんですね」 「お客さんとのつきあいが多いですけどね」 円滑な会話に聞こえるけれど、私は笑顔ながら、彼は無表情だ。 多分ご飯の時もこうだろうな。 慣れてはきたものの、緊張は取れない。 「7時でも大丈夫ですか? 私のほうが早く上がると思うので、そこのスタバで南条さんを待ってますね」
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